ブラジル中央部に広がる広大なサバンナ生態系は、世界でも生物多様性の豊かさで知られています。 200万㎢の広大な面積は日本の約5倍以上で草原、低木林、森林のモザイク状の植生が特徴で、多様な植物が共存しています。12,000種の植物が生息しており、そのうち約44%はセラード固有種です。植物は大量の炭素を吸収して気候変動の緩和に寄与し、その土壌も非常に深く炭素を蓄えており、その保全は地球温暖化対策に重要です。セラードはブラジルの主要な河川系の源流地帯でもあり、多くの河川がここから流れ出て南アメリカの他地域にも重要な水資源を供給しています。大豆、トウモロコシ、牛肉などの生産が盛んです。これにより、ブラジル経済においても重要な役割を果たしています。酸性の土壌で農業には不向きでしたが土壌改質や品種改良で大豆の生産量で潤い、特に牛の飼料として利用すると共に世界一の飼育頭数は牧草地確保で開墾が急速に進みセラードの5割がジャングルから畑へと大きく変貌(破壊)しています。この森林破壊により、河川や地下水の流量が減少し、水資源の供給が脅かされて、地域の農業や人々の生活に深刻な影響が出ています。セラードの保護は、生物多様性の維持、水資源の確保、気候変動の緩和など、地球環境全体にとって非常に重要です。持続可能な開発と自然保護のバランスをとるために、国際的な協力と取り組みが求められます。日本にも多くの自然保護地域があり、それらは生物多様性の保全や環境保護において重要な役割を果たしています。しかし、これらの地域も人間活動による影響を受けており、浸食や環境劣化が進行しています。更に自然と共に共生していた原住民も近代化の名の元に原始時代以来の文化と共に葬り去ろうとしています。
日本でも重要な自然保護地域とそれらの破壊は他人事ではありません。屋久島(鹿児島県)ユネスコの世界遺産に登録されており、屋久杉と呼ばれる樹齢数千年のスギが自生しています。温帯から亜熱帯にかけての植生が見られ、多様な生物が生息しています。近年、観光客の増加によりトレイルの侵食やゴミ問題が顕在化しており、持続可能な観光の推進が求められています。白神山地(青森県・秋田県)ブナの原生林が広がる地域も多くの固有種が生息し、手つかずの自然が保たれています。過去の森林伐採や現在の観光開発による影響が懸念されています。知床半島(北海道)海と陸の生態系が密接に関連し、多様な野生生物が生息しています。小笠原諸島(東京都)「東洋のガラパゴス」とも呼ばれます。これらの壮大な自然(恵み)を開発の名の元に壊しているのです。
温暖化で更に危険なのは、シベリアやアラスカなどの凍土が溶解すると有機物が分解され、二酸化炭素(CO₂)やメタン(CH₄)などの温室効果ガスが大気中に放出される事です。特にメタン(CH₄)は湿地や湖底の凍土が溶解するとCO₂の約25倍の温室効果を持つため、気候変動への影響が大きいです。地盤沈下や崩壊が発生し、道路や建物も損傷する可能性があり、山岳地帯も地すべりや崩壊が発生しやすくなります。植物の生育条件が変化し、特に寒冷地に適応した動物にとって生存が困難になり劣悪な環境に移動を余儀なくされたりします。反面、凍土の下には多くの鉱物資源が眠っているとされています。凍土の溶解によってこれらの石油、天然ガス、鉱石などの開発が容易になり、鉱業の発展が期待できます。新たに利用可能な土地が増え、農業用地として利用できる地域が広がり農作物の生産量が増加し、食糧供給の向上が期待できます。以上のように経済優先での開発は“諸刃の剣”。開発途上国では国の豊かさを求める「権利」は有るものの、CO₂排出量300億トン/年の内32%は中国、14%米国、7%インド、3.2%日本。GDPや国民人口などなどを考慮した裁定が重要課題であり、良識ある国々の中でも日本にイニシアティブを発揮して頂きたいものです!!